
このあと、360度写真であなたをここへ導きます。



2019年5月20日。
北海道の「炭鉄港」は、文化庁から「日本遺産」に認定されました。



「炭鉄港」というのは、「石炭」「鉄道」「鉄鋼」「港湾」が力を合わせて北海道を大きく発展させた、産業の革命のことをいいます。



小樽の港湾、室蘭の工場、空知の炭鉱。3つを結ぶ鉄道。これらは今となっては観光名所ですが、当時の北海道の繁栄の足跡として遺る、本物の産業遺産です。



こうした産業の急成長と衰退。壮大なストーリーは文化庁に認められ、北海道の持つ他にはない魅力が後世へ語り継がれる「日本遺産・炭鉄港」が誕生しました。



そんな日本遺産・炭鉄港の紹介で特筆されるのが、北海道赤平市にある「住友赤平炭鉱」。
東京スカイツリーの高さよりも深い地下650mから、720m/分という驚異的なスピードのエレベーターで石炭を揚げていた、かつては「東洋一」とも評された炭鉱です。
今回の記事は、この住友赤平炭鉱立坑櫓の内部の見学ツアーに参加した私が、その壮大で美しい世界観をあなたにお伝えしたいと思います。途中、臨場感ある360度写真も登場します。
最後までお楽しみいただければ幸いです。
赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設とは



北海道赤平市。「石炭のまち」として知られるこの市の中心的な炭鉱遺産「旧住友赤平炭鉱」では内部を元炭鉱マンのガイド付きで見学できる「炭鉱遺産ガイド付見学」ツアーが行われています。



見学ツアーへ参加するべく、私は「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」を訪れました。ツアーへは当日参加も可能ですが、事前に予約された方が優先です。ちなみに料金は大人800円(赤平市民は200円)。



到着後、隣に大きく見えるのは採掘した石炭を引き上げるための立坑櫓と呼ばれる施設。平成6(1994)年の閉山後も赤平市のシンボル的な建物として保存されています。



後でこの内部に入れると思うと、期待感が高まります。
旧住友赤平炭鉱の特徴は、何といっても保存状態の良さ。他の炭鉱は内部の機器類が撤去されていたり、火災が原因で立ち入り禁止となってしまったりしているものも多いのです。
見学ツアーは月曜・火曜の休館日を除き、毎日午前10時と午後1時30分から1時間半です。早めについた方は、入場無料のガイダンス施設の展示を見ながら待ちましょう。






ガイダンス施設内部の様子。ここの詳細については訪れてご覧になった方が分かりやすいかと思いますが、坑内で使われていた道具や採掘された石炭が実物で展示されている施設です。



定時になると、まず元炭鉱マン(炭鉱で働かれていた方)の事前レクチャーが始まります。基本的なことを学んだ後、ヘルメットを装着していよいよ立坑櫓の内部ヤードへ。
立坑櫓のヤード内部の見学ツアー






搭のような巻上機が特徴的なこの立坑櫓は、昭和38(1963)年、すなわち東京オリンピックの前年に完成し、平成6(1994)年まで現役で石炭を掘り出していました。
櫓の高さが43.8mという巨大な構造物の中は、一体どのような光景が広がっているのでしょうか。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA



入ってすぐの空間は石炭を運ぶための作業スペース。レールやトロッコが遺され、ほぼ閉山当時の姿のまま時を重ねてきました。



むき出しの鉄骨とガランとした壮大な空間に光が差し込んで、幻想的です。



ちなみにトロッコへは、後ほど乗車することが出来ます(動きません)。



内部は狭いですが、炭鉱に従事されていた方はこの状態で移動していたのですね。
奥へと進みます。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA






立坑櫓の中心部分へ到着。
この鉄骨組の中で、2本のロープがエレベータのようにケージを昇降させて石炭を運び出しました。



こうした巻上機の方式を「ケーペ方式」といい、写真のように複数のケージが交互に地上と地下を移動する方式です。



この図にある「ドラム」というのが、



こちらです。もう一つの「ドラム方式」とは異なり、「ケーペ方式」のドラムにはただロープが通る溝があるだけなのが特徴。
そしてこのドラムを回転させてケージを昇降させる操作を行っていたのが、
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
ここ、「ケージ巻室」。



中に入ることもできました。この巨大な立坑櫓を操作する者だけが見られた景色です。



時間は閉山した平成8(1994)年から止まったまま。



ところでガイド付きの見学ツアーであるにも関わらず、まるで私が自分勝手に写真を撮っているような演出となっておりますが、









ガイドの方が解説中も自由に写真撮影して良いと仰ったので、自分勝手に写真を撮影していたのは事実でございます。(すみません、でもお話の大半は聞いておりました。)
話がそれましたが、上記の写真は発電機。先ほど説明した巻き上げの回転を利用して電気を発生させていた機械です。



Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
ドラムやケージ巻室と同じ空間には、自動運転盤などが配置されました。赤平炭鉱は当時としては進んだ技術である自動運転が取り入れられていたため、その名残ですね。



それにしてもこの自動運転盤は、後に被写体になることを狙っていたかの如く美しい。
自動運転盤の裏側へも入ってみます。
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA












もはや見学ツアーに参加していることを忘れてしまいそうなほど、見入っておりました。






自走枠整備工場の内部も見学できる
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
続いて、先ほどの立坑櫓からは少し離れた場所にある「自走枠整備工場」へ移動します。



自走枠というのは上の写真が示す大型機械のこと。坑道内で採掘機械などを保護するために用いられた、動かすことが出来る枠です。



ガイドの方によると立坑櫓の見学時間が長くなった場合、こちらは駆け足気味の説明となってしまうそうです。






炭坑内で使用されていた機械の数々が展示されておりました。



見学ツアーを終えて



見学ツアーを終えた感想は正直なところ、これで800円なのか...です。
安すぎます。
日本遺産・炭鉄港に特筆される「旧住友赤平炭鉱」という、本物の産業遺産を1時間30分かけて堪能できる上に、実際に炭鉱で働かれていた方の詳しすぎるガイド付き、自由に見学できる時間も設けられて撮影も可能。
特に、「閉山当時のままの姿を残している」という点が見学の醍醐味でしたね。
記事を読んで興味を持たれたあなた。
北海道へ来られた際にぜひ見学ツアーへ参加してみてはいかがでしょうか。
本記事で使用した360度カメラ
ご参考までに、私が愛用している360度カメラをご紹介すると「RICHO THETA」というものです。
私は「THETA V」ですが、よりお手頃な「THETA SC2」、高機能な「THETA Z1」などのラインナップがあります。詳細はAmazonの商品紹介をご覧ください。
コメント