『MUSIC』の歌詞にみる志村正彦氏の作詞史

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この曲にフォーカスした記事がほとんどない

 僕の好きなアーティストの一つが、フジファブリックさんだ。ここで説明せずともその魅力は知られていると思うが、そんなフジファブリックさんのある曲の歌詞について以前から気になっていたことがあった。それは…

デフォルメしたのは大人の事情

『MUSIC』(アルバム『MUSIC』収録)の歌詞、志村氏の歴史を含みすぎている

 ということだ。

 そして、フジファブリックの『●●●』の歌詞を解釈してみた!、といった類の記事は多く見受けられるものの、『MUSIC』の歌詞が、いかに過去の楽曲の要素を含んでいるかを分析した記事は見当たらなかった。

そのため、音楽素人の大学生であるこの僕だが『MUSIC』の歌詞の意味を分析してみたい。

それでは分析開始!

調査にあたって

 まず、フジファブリックについておさらいすると、2010年に楽曲『MUSIC』が発表されるまでにCDシングルは11作品、アルバムはインディーズで3作品、メジャーで4作品出している。曲数を数えてみると調査対象は90曲近くあった。下記はアルバムの通常版の発売年度とその曲数。

  • アラカルト(2002年)・全6曲
  • アラモード(2003年)・全6曲
  • アラモルト(2004年)・全7曲
  • フジファブリック(2004年)・全10曲
  • FAB FOX(2005年)・全12曲
  • TEENAGER(2008年)・全13曲
  • CHRONICLE(2009年)・全15曲

 当時のボーカルの志村正彦氏が急逝した2009年までに、このように相当数の楽曲が世に出されているのだが、これらの要素(歌詞そのもの、または連想されるフレーズ)が、彼の死後初めて発表されたアルバムに収録された楽曲『MUSIC』に多く含まれていたのだ。

まず結論を言うと

          

これだけの楽曲要素が含まれていた

 数にしてのべ11曲分。インディーズ時代の2003年の作品から、前年の2009年のものまであった。当時発表曲の1割以上が集約されて『MUSIC』が完成したのだ。上図は含まれていた楽曲の情報だが、「種別」というのは直接歌詞が含まれていたものが「引用」、連想される描写があった場合が「連想」としている。詳しくはこれから解説しよう。

解説していきます

 著作権の関係もあるので、抜粋した歌詞を紹介しつつ解説したい。

 フジファブリック 『MUSIC』 作詞/ 志村正彦 作曲/志村正彦

「心機一転何もかも春は~」の歌い出しで最初にが歌われる。フジファブリックは季節を描写した曲が多いが、例として『桜並木、二つの傘(2002)』、『桜の季節(2004)』、一部だが『エイプリル(2009)』などで春が明確に描写されている。ただ、注意したいのは歌詞と結び付けられるのは直接的なものだけではないという点だ。

春のイメージ(LAND DO撮影)

 私はまず、このの章に『記念写真(2008)』を連想する。続く「転んで起き上がる~」は、かの曲で石につまづいて立ち上がった野球少年を意味しているのではないだろうか。そうだ、「記念の写真撮って/僕らはサヨナラ」、別れの季節の曲としてもつじつまがあう。そしてここで先述した『桜の季節(2004)』だ。「~舞い散った花びら」は志村氏がやるせなく感じた桜のことだろう。いやもしかしたら『花(2004)』のように儚いものかもしれない。さらに、「踏みつぶして~」蒼い鳥(2007)』の「昨日の跡」のくだりで間違いないだろう。

 この後の歌詞にも大注目である。「遊び半分で君を通せんぼ」したのはきっと、志村氏の妄想の中の話ではないだろうか(『花屋の娘(2003)』) 。それから、「雨が止む」ことで「遠くにいける」のはもうお分かりだろう。缶コーヒーをつぶして足を踏み出した『虹(2005)』。余談だが、個人的にこの曲はブラックコーヒー(一応喫茶店らしいが)が口に合わずに雨を見ていた話の続きではないかと思っている(『雨のマーチ(2005)』)。

「うだるような季節の夏は~」の歌い出しで続いてが歌われる。フジファブリック夏の曲も多く、例として『線香花火(2001)』、『陽炎(2004)』、『Surfer King(2007)』などが代表的だ。

夏のイメージ(LAND DO撮影)

 の章はまず「~サンダルで駆け巡る」までについて考察しようと試みたが、「全力で走」ったり、「もっと足早に先へ進」むことはあっても、サンダルを履いてそうな状況は出てこなかった。バスにも飛び乗りにくいしなあ。一方で、その後は「駄菓子屋」で買ったりんご「飴」と伏線回収しまくりだ。前者からはバットを借りてお小遣いをちょっと持って行った『陽炎(2004)』、後者は飴違いだが『水飴と綿飴(2005)』に続いて登場しそうである。

 この後の「通せんぼ」「雨が止んだら」は先述したとして、その後『虹』と曲名を言ってしまっている。先ほどの考察は正解だったようだ。

秋 

 さて、いよいよであるが、「枯れ葉が舞い散ってる秋は~」に始まる。2009年以前の曲で『若者のすべて(2007)』、『赤黄色の金木犀(2004)』、『茜色の夕日(2001)』と代表格の曲が並ぶように、フジファブリックはが似合うバンドと言っても過言ではないだろう。

秋のイメージ(LAND DO撮影)

 だがその一方で考察は難しい章となった。「桜が枯れた頃」の歌はあっても、落葉する時期の描写があったのは思いつかない。「君が恋し」い、というのは多くの楽曲に共通するものであるし、「記憶の中にいる君は/いつだって笑顔だけ」が間違い探しの途中の話だということだけがくみ取れた(『笑ってサヨナラ(2003)』)。

 これに関しては理由が不明だが、の章だけ異常に短い。それまでにも『銀河(2005)』をはじめとして、『stockholm(2009)』や銀河のB面『黒服の人(2005)』など、決してないがしろにせず描写してきた歴史はあったが、歌詞にして2行に凝縮されている。

冬のイメージ(LAND DO撮影)

 さて、「雪」はどこの話だろうか。直接的に考えるのであれば、先述の『stockholm(2009)』が挙げられるがすでに降りやんでそうな描写であるか…。

この答えは彼の地元を冬に探訪した時に分かった。

雪だ!

雪が止んで、澄んだ空気に包まれる山梨県・富士吉田市ではないだろうか。過去の歌詞の要素に加え郷愁的な思いで歌を締めくくったのかもしれない。

季節の配分にも注目か

 やっぱり、冬が短い理由が分かった気がする。先述の『エイプリル(2009)』では、4月というよりそれ以前の心情が歌われており、あまり元気な様子ではない。そもそも、それが収録されたアルバム「CHRONICLE」自体が冬の雰囲気を持つ曲が多い。『MUSIC』が志村氏が自身のこれまでの曲を総括したものだとしたら、冬の比率が物語るのはそういうことなのかもしれない。

本記事では、楽曲『MUSIC』に含まれている志村正彦作詞曲の歴史的要素を紹介したが、それだけではなくこの春夏秋冬への思い入れの違いも実はほのめかしている可能性がある。それにしても、本来曲名的には『クロニクル(2009)』がそれを担うべきなのでは、と個人的に思っている。

最後に、富士吉田市駅前で収録した夕方5時のチャイム(下のツイート添付)をお送りする。

(文責・ランドゥ)

コメント

  1. けん 志村 より:

    志村 雅彦 → 志村 正彦

    • LAND DO より:

      志村 けん さん

      ご指摘ありがとうございます。
      変換を間違えており、大変失礼なことになっておりました。

      これからもよろしくお願いします。

      LAND DO

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