【岩見沢】世界が評価した北海道のローカル駅舎。

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あなたにとって駅とは

 

 今回は駅舎シリーズ第1回目の記事となる。

 時々説明が必要になるが、私は鉄道ファンではない。しかし駅は大好きだ。特に、変わりゆく時代と街並みの中で、駅は駅として同じ価値をもって佇み続けるその様の風情といったら、筆舌に尽くしがたいものがある。ノスタルジックな風景が好きな私の心に駅舎は沁みるのであった。

 詳しくない人にとっては移動手段に乗り込む場所といったところか。もっと言うと、もしあなたが鉄道ファンでも、駅舎に込められた建築家の思いまでは知らないのではないだろうか。

そう考えた私は、この第1回の記事で利用者にあまり知られていないが、実は世界から評価されている北海道のある駅舎を紹介したい。

今回の駅舎

 さあ、記念すべき第1回目にリポートするのはこの駅舎だ!

ばん!!

 近すぎる。

 そう思われたことだろう。しかし私は単にふざけているのではない。外観の一部とおぼしき赤レンガの仕上げをよく見てもらいたい。英字が刻まれているのだ。

この仕掛けは『らぶりっく!!いわみざわ』といって、世界中に募集をかけて集まった人々の名前と出身地を外壁タイルへ刻印するという、駅が出来たあとのまちづくりにつなげるプロジェクトだ。そして今言ったように、この駅は北海道が誇るブルネル賞受賞駅・『岩見沢駅』だ。

駅前広場から望む

この駅で見るべきは…

 この駅舎を一言で表すなら、北海道のレールの歴史の集積、だと思う。

ファサードにも表れているカーテンウォールのサッシ。実は使われなくなった古いレールを再利用しているのだ。部材の番号までが利用者へ向けて見えるように、おそらく再印字されている。

そのレールだが、短く切断したものを円状に並べることでこのようなアート作品にも応用できる。錆びた褐色のその姿は、駅構内にさりげなく歴史を感じさせる場を作っている。

歴史について詳しく知りたい方は、展示スペースに足を運んでみるのもよい。このような実物のレールとパネルで、北海道は外国製レールの宝庫であることを伝えている。

レールに留まらない魅力

 そしてこの駅舎、歴史の重みがあるだけではなく数々の賞を総なめにしている。中でも特筆すべきは写真左の『2011 Brunel Awards(ブルネル賞)』。これは鉄道関連のデザインを評価する、世界的なコンペだ。先述したような、駅としては斬新な数々の試みが国際的に評価された。

岩見沢が最寄り駅の人は、ただの最寄り駅にとどめておくのがもったいないと感じただろう。

 そして観光客にもおすすめだ。これほど知る人にとっては権威のある建築であるにもかかわらず、利用者以外の人は駅前にあまりいない。世界的名建築をひとりじめ!

建築家の思い

重みのある一面も

 最後に、この岩見沢駅舎を設計された西村浩さんの思いを紹介したい。西村さんはコンペに応募する際に、岩見沢という街に対して当初は残念なイメージを抱いたそうだ。

多くの商店がシャッターで閉じられ、家屋が解体された後の空き地が駐車場……, といった具合で, 人々の賑わいのない凋落した街の風景が広がっていた.

新建築社出版『新建築2009年09月号』p134

そこで、こんな問いを自分自身に向けられた。

街にとって「変わらない価値」を持つ駅舎とは何か?

新建築社出版『新建築2009年09月号』p134

この考え方は私も強く共感しており、駅舎が好きになった理由にもつながっている。

そしてその答えとなったのが、この『4代目・岩見沢駅舎』だったというわけだ。

古レールは, (中略) カーテンウォールとして再生した。(中略) これは, 忘れかけていた街発祥の記憶をこの現代にもう一度回復し, これからのまちづくりに向けて, 時の揺らぎに左右されない基軸を再編する試みである.

新建築社出版『新建築2009年09月号』p134

 先ほど名建築をひとりじめなどと申し上げたが、岩見沢駅周辺はまだまだ閑散としているという意味でもある。地域住民の皆さん、北海道へ行く用事のある皆さん、機会があればぜひこの駅舎を訪れ、岩見沢駅と岩見沢の魅力を発信していってほしい。

<駅舎シリーズ 第2回に続く>

(文責・ランドゥ)

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