【日向市】世界が評価した宮崎のローカル駅舎。

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駅舎シリーズ・第2回

 こんにちは。ランドゥです。

前回の記事の反響を見る限り、鉄道好きは多くても駅舎専門のマニアはいないよな…という心境になった。一方で、今回の記事も一般的な知名度はそこまでだが実は世界的に認められている駅舎建築を紹介していきたい。

名駅舎シリーズ・第2回の始まりだ。

設計者の思い

建築家に何が出来るか

 いきなりシビアなタイトルだが、これは今回紹介する『日向市駅』を設計された建築家の内藤廣さんの問いかけだ。内藤さんは旭川駅高知駅などの駅舎を手掛けられた方で、今回の場所は宮崎県日向市。当時人口六万数千人(2019年現在六万人を切っている)のこの町の中心で、内藤さんはこう考えられたという。

 初めて訪れた時は言葉を失うようなありさまだった. 鉄道を高架にし, 駅舎をつくり, まち全体の構造を変えてしまおうというこの意欲的な試みがうまくいくかどうか, 当初は皆目見当がつかなかった.

新建築社『新建築2008年5月号』126頁

 これは多くの地方都市に共通する課題でもある。前回の記事の岩見沢駅周辺でも、地方都市における中心市街地の空洞化が指摘されていた。

美しい薄暮時のファサード(LAND DO撮影)

サッカーのようなプロジェクト

駅舎がサッカー?

 建築を個人戦とすると, いわばサッカーのような団体戦なのだ。

新建築社『新建築2008年5月号』126頁

 突然出てきた『サッカー』というキーワード。なんでも、内藤さん一個人のお考えでこの駅舎が出来たのではなく、総監督、フォワード、バックスなどが一体となって日向市駅を中心としたまちづくりを行ったと比喩的に述べられている。その連繋プレーでプロジェクトを成就させた背景にあるものがこれだった。

『スギ』という媒介物

ひさし部分のスギ(LAND DO撮影)

結果論だが, スギという媒介物を持てたことが, このプロジェクトのテンションを保持し得た大きな要因だと思っている.

新建築社『新建築2008年5月号』127頁

 この駅へ私が探訪した際、構造体として木材を使っていることに目を奪われた。小ぶりな駅舎が木造というのはよくある事例だが、これだけ大規模な駅舎では珍しい。広場の中心に堂々と立っているにも関わらず、圧迫感を感じなかった。

新しい懐かしさ(LAND DO撮影)

 この地域は昔から、木材といえばスギというほどに愛着のある材料だったという。まちの人からの要望によってスギで駅舎をつくることを検討したが、柔らかいスギを構造に用いることに当初内藤さんは反対された。

 県の試験場で材料試験を入念に行い, 工学的なデータを積み重ね, 構造を川口衛先生に依頼し, 十分な検討を尽くすことに条件に, スギによる構造体をすることを了承した。

新建築社『新建築2008年5月号』127頁

 紆余曲折を経て実現されたこの日向市駅舎。尽力した方々への敬意とともに、観光客の私が見つけた魅力も紹介していきたいと思う。

この駅でここに注目!

 『杉玉』というらしい。スギの穂先を集めたものだと記されていた。この駅では、待ち合わせ場所でよく見かけるアートまでスギなのだ。

 天井を見上げれば、化粧材にもスギが。発車標や窓口、広告の看板と明らかに今風の駅構内なのだが、さすがは木。温もりを感じさせてくれる。

 写真がうまくない私が撮ったプラットフォームだ。何が言いたいのかというと、現実の世界で電車からこんな空間へ降り立つことができるということ。幻想的だ。

もちろん、世界も放っておかない。

「ブルネルアワード2008」において、駅舎建築部門では日本初となる最優秀賞を受賞。

日向Style <http://www.hyuga.or.jp/sightseeing/view/33>

 前回紹介した岩見沢駅同様、鉄道関連のデザインを評価する、国際的なコンペで賞を受賞している。駅から街を変えたいという思いは、世界からも認められたのだ。最後に、内藤さんの言葉から、私の心に響いた一文を紹介して終わりたい。

 年を取るごとに, 言葉だけの精神は色褪せてしまう. 動かすことの出来ない物理的な特性(この場合はスギ)があれば, そこからいくらでももとの精神を取り出すことができる.

新建築社『新建築2008年5月号』127頁

 モノの価値が移ろいやすいこの時代には、改めてこのような考え方が重視されている。それを私へ最初に伝えてくれたのが、駅だったのだ。

(文責・ランドゥ)

 

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